高温多湿の厳しい日本の夏は、スキンケアするのも億劫になります。単なるひんやり・さっぱりだけでは、差がつきません。そのため、楽しいお手入れタイムを提供できるような商品を投入するブランドが目立ちます。
そこで、今回は5月~6月に発売された新商品より、「夏にうれしい××なスキンケア」というヒットの法則をご紹介します。
*****************************************
①うるおいバランスと肌温℃(はだおんど)に着目した、スキンケアシリーズ
『資生堂 ベネフィーク ホットクレンジング』 150g 4,000円
『同 ローション』 200ml 5,500円
『同 クリーム』 40g 10,000円
2014年5月21日発売
はじめにご紹介するのが、資生堂 ベネフィークの、環境によって変化する、うるおいバランスと肌温℃(はだおんど)に着目した、スキンケアシリーズです。
「温・冷・温」のサーマルギャップで美容成分を引きこみ、その効果を受け止める肌へ導くというユニークなコンセプト、温感ジェルのホットクレンジングで肌を温め、ひんやり清涼感のあるローションで冷やし、クリームでまた温めるというもので、よく考えるとエステで使う手法と同じなのですが、商品にその理論と効果を落とし込み、全く新しい価値をつけたところが新鮮で、カウンセリングブランドとしての強みが生きます。
商品提案だけではなく「℃美容」をテーマにした情報サイトを開設。「心の℃美容」と称してフィーチャーした「ヌクメン(自然体の優しさで、女性を『ぬくっ♡』とさせてくれる男性)」がYahoo!検索ランキングでも上位となるなど、新規客へのアプローチも抜かりありません。
このように、WEB戦略では化粧品ブランドも美容以外のエンタメ提案が必要な時代です。ドクターシーラボは、WEBでふなっしーらぼキャンペーンを実施し、「ふなっしー美容マスク」のプレゼントやオリジナル動画をSNSで拡散するなど、元気が良いブランドは精力的に行っています。
*****************************************
②夏場にぴったりな、国産レモン果汁配合のクレンジングオイル
『アルビオン イグニス サニーサワー クレンジングオイル』
150ml 2,800円 2014年6月18日発売
続いては、広島・瀬戸田産レモン果汁配合のクレンジングオイル。
クレンジングオイルもすでに定番であり、夏に人気のアイテムですが、品質における差別化はほとんどなされていないのが現状です。個性を出すとしたら、キャラクターのコラボレーション容器デザインくらいしか方法がなくなっています。
そんな中、こちらはレモン果汁配合、夏場にぴったりなさわやかイメージで、柑橘類のオイルはお掃除などにも効果を発揮することが知られているので、すっきり汚れを落としてくれる期待感も高まります。何よりも、広島 瀬戸田産レモンというブランド産地を聞いただけで「いいもの」というイメージがすぐに浮かびます。景気が回復した今年のキーワード「プチ贅沢」にズバリ当てはまる商品です。
*****************************************
★「週刊粧業」にもコラム連載中です!
2014年7月28日発行号の「週刊粧業」にこちらの記事が掲載されました。
近年の発明的アイテムとして、オールインワンゲルとともに肩を並べるのがBBクリーム(最近ではCCクリームも増加中)です。大流行アイテムゆえに市場には同じような商品があふれ、競争が激化しています。このような過酷な競争の中では、少しひねった商品が登場します。
今回は4月~5月に発売された新商品より、「流行りモノをひとひねりした××」というヒットの法則をご紹介します。
*****************************************
①新剤型で差別化を図った、ひんやりタッチのBBスプレー
『コーセー エスプリーク ひんやりタッチBBスプレーUV』
60g 2,100円 2014年5月16日発売
一つ目は、1品で美容液・日やけ止め・化粧下地・ファンデーション・フェイスパウダーの5役を果たす、ひんやりタッチのBBスプレー。
きれいに仕上がるのか、化粧持ちはどうか…など心配が先立ってしまいますが、そこは、バッチリカバーが求められるファンデーションではなく、素肌っぽい薄づきな仕上がりが求められるBBということがプラスに働いています。マスブランドのファンデの中では安いと思えるバリュープライス。「肌に触れた時の温度が-5℃」という実感を1回は試してみようと思う人も多いはず。
ただ、脱落者が多いのが新剤型化粧品の宿命です。このBBスプレーも肌に直接スプレーするのではなく、スポンジにスプレーしてそれを肌にのばす新しい使用方法で、手軽なBB市場でどのように定番化できるかは要注目です。
*****************************************
②明確なコンセプトで差別化を図った、CCクリーム
『クリニーク モイスチャー サージ CCクリーム コンパクト 30』
全2色 5,500円 2014年4月25日発売
続いて、こちらは3つの特徴で他のBBやCCとの差別化を図っています。
①チューブではなくコンパクト入りのソリッド剤型にしたこと②マーブル模様の充填にしたこと。これは単なるデザインではなく、健康的なツヤ・血色・透明感をプラスし、肌色悩みをコントロールする3色の「CCオプティクス」と名づけて説得力を出していること③クリニークの人気スキンケアライン、「モイスチャー サージ」のひとつとして登場していること。これによって、スキンケア効果ではお墨付きというインパクトです。
雑誌の美容記事に掲載されやすいのが、このような明確なコンセプトが盛りだくさんのものです。
*****************************************
③CCクリームを応用した、洗い流さないヘアトリートメント
『日本ロレアル ケラスターゼ SO C.C.クレーム ソレイユ』
150ml 3,000円 2014年4月26日発売
最後にご紹介するのは、ヘアケアなのにCCクリームというアイテム。紫外線によるダメージから髪をケアし、髪の表面をなめらかに整えることで、CCクリーム同様に、見た目にも均一な美しい髪へと導く、洗い流さないトリートメント。
最近、活性化するヘアケ市場。「オイル美容液」など、スキンケアでなじみのあるワードを応用するのが流行っていますが、ベースメイクまできたか!という驚きがある商品です。
*****************************************
★「週刊粧業」にもコラム連載中です!
2014年6月30日発行号の「週刊粧業」にこちらの記事が掲載されました。
いよいよ日やけ止めシーズンが到来し、様々な効果を掲げた商品が発売されています。
大気汚染対策のものが多数出ていますが、今回は変わり種として、4月に発売された新製品より「インパクトのある日やけ止め」を3つご紹介したいと思います。
*****************************************
①虫よけ効果もある日やけ止め
『パラドゥ バズガードUV』
35g SPF50+・ PA++++ 647円 2014年4月9日発売
一つ目は、天然ハーブの虫よけ効果をあわせ持った日やけ止めジェルです。コンビニ専用ブランドなので、レジャーの直前・途中のアウトドア用途にはうれしいオマケ機能です。
汗や水をはじくウォータープルーフ対応でありながら、洗浄はボディ-ソープでOKというかゆいところに手が届く便利アイテムです。
*****************************************
②近紫外線までカットする日やけ止め
『ポーラ B.A ザ プロテクターS』
45g SPF50 ・PA++++ 11,000円 2014年4月5日発売
ガラリと変わって日やけ止めなのに1万円超え(!)こちらは、で、紫外線だけでなく、「近赤外線」までカットするという新しいアプローチです。
ランコムの日やけ止めは、UV-Aの中でも特に波長が長く真皮に強いダメージを「ロングUV-A」から肌を守るというコンセプトで注目を集めていますが、ポーラが注目したのは「近赤外線」です。UV-Aよりもさらに波長が長く、真皮の深層まで届き、コラーゲン構造にも影響を及ぼすことを発見したとか。
PA値に注意するなど、紫外線A波に対するガード意識もここ数年高まっていますが、太陽光の持つ怖い要素というのは、まだまだあるものなのだなと考えさせられます。今まで無防備だったものが実は脅威だった、という説は、本当に恐ろしいので、ついつい買ってしまう、ということになりそうです。
*****************************************
③ブルーライトからも守る日やけ止め
『リポースカンパニー アルガマリス UVビオクリーム SPF50+ PA++++』
100ml SPF50+ ・PA++++ 2,950円 2014年4月1日発売
最後は、ブルーライトからも守る日やけ止めです。
長時間デジタル機器を使用すると、視界のチラつきやまぶしさを感じさせる原因になるといわれているブルーライト。眼に悪いものとして知られていますが、肌老化の原因としても注目されています。
といっても、実は美容業界では新しい発見でもなくて、目で見える波長の「可視光線」の中で、もっとも紫外線に近い青い色をしている光をあえて「ブルーライト」と呼んでいるだけ。可視光線に対応したスキンケア商品はかなり昔からあるので、技術の新しさではなく、流行りのコンセプトで新しく見せているといっていいでしょう。
この商品はそれよりも、高いSPF値・PA値なのにコスメビオ認証取得で、1歳の子供から使えるという徹底した安心安全コンセプトで、そちらの方が消費者に響きそうです。
*****************************************
★「週刊粧業」にもコラム連載中です!
2014年5月26日発行号の「週刊粧業」にこちらの記事が掲載されました。
通販やドラッグなどのセルフ販売では、わかりやすいコンセプトが支持されますが、意識が高い消費者がターゲットとなる百貨店ブランドは、ヒネリのあるコンセプトが求められます。
そんなヒネリコンセプトの法則に「悪いものを排除する××」というのがあります。
今回は2月末~3月に発売された新商品より、その事例をご紹介したいと思います。
*****************************************
①悪いものを排除し、良いものを引きこむ化粧水「医白水」
パルファム ジバンシイ(LVMHフレグランスブランズ) 『ジバンシイ DW10 ホワイトニング ローション』
200ml 6,500円 (医薬部外品) 2014年3月7日発売
パルファム ジバンシイは、落しものではなく化粧水でありながら、悪いものを排除し、良いものを引きこむ「マイナス導入」という発想です。毛穴の奥から黒ずみを取り除きながら、医白成分を肌深くに届けるので、使えば使うほど、白さが昇華していくというストーリー。
このシリーズは「肌色を治療するというドクターのアプローチや医学的視点から開発された『医白』シリーズ」で、この化粧水も『医白水』と名づけられていたりと、造語によるヒネリが好奇心旺盛な消費者の心をそそります。
*****************************************
②大気汚染など外的ダメージもブロックする日焼け止め
『イプサ プロテクター センシティブ』
30g SPF30・PA+++ 3,200円 2014年3月1日発売
悪いものを排除するといえば、今年は紫外線だけではなく、さまざまな環境に配慮した日焼け止めが続々登場しています。こちらもそのひとつです。
pm2.5などの大気の汚れと、花粉の時期があいまって、アレルギー症状が肌からも感じられるという話も聞かれる昨今です。それに対応したプロテクトアイテムのニーズも高まるのは当然といえます。
また、陽射しの強さを実感するのは5月頃ですから、3月から発売する新製品を使ってもらうなら環境の悪影響を排除するというのは中々のアイデアではないでしょうか。
*****************************************
③皮膜感のない、つけ心地の良さを追求した日焼け止め
クリニーク ラボラトリーズ 『クリニーク イーブン ベター ダーク スポット ディフェンス 45』
全2色 30ml SPF45・PA++++ 5,200円 2014年2月28日発売
ところで、日焼け止め分野の基本に戻って「悪いものを排除したい」といえば、日焼け止め特有の皮膜感によるつけ心地の違和感尽きるのではないでしょうか。
各社、さまざまな品質改良を加え、塗布感の良いものが続々と出ていますが、それをうまく訴求できているのがこちらです。独自の「インビジブル スクリーン(TM)」技術により、まろやかにのびて素肌にピタッと密着するという医療用パッチにヒントを得た新技術だとか。
「空気のように軽く透明なメッシュ状のフィルムにより、何もつけていないような夢のつけ心地を実現」と言われれば、思わず試してみたくなりますから、消費者の心理をうまく捉えています。
*****************************************
★「週刊粧業」にもコラム連載中です!
2014年4月28日発行号の「週刊粧業」にこちらの記事が掲載されました。
オールインワンゲル、BBクリーム、ノンシリコンシャンプーなど、今まで無かったカテゴリーをつくるというのが最近の化粧品業界の大きな流れ。
その3つのように業界に旋風を巻き起こすビッグトレンドになるのは容易なことではありませんが、新カテゴリーの商品は毎月のように発売されています。
今回は2月に発売された新商品より、そんな「新しいカテゴリーの××」というヒットの法則をご紹介します。
*****************************************
①「原液化粧水」という新しいジャンル
『レノア・ジャパン TUNEMAKERS 原液保湿水』
120mL ¥2,000 2014年2月13日発売
「原液化粧水」という新しいジャンルで、セラミド、ヒアルロン酸、ハチミツ、コラーゲン、ローヤルゼリーを独自のうるおい比率で調合し、原液と弱酸性水で作った、ごくシンプルな化粧水です。
処方箋のようなラベルには、美容に詳しくない人でもイメージしやすい保湿成分が書かれているので、何が原液なのか、どんな効果があるのかひと目で分かりやすい。通販やセルフ販売ならではのわかりやすい演出です。
*****************************************
②「ふたえサプリ」という新しいコンセプト
『プレビュート ふたえサプリ』
6mL ¥950 2014年2月14日発売
続いて、「ふたえサプリ」という、全く新しいコンセプトの商品。パッチリふたえを作るために、しっかり保湿プラスハリを与えるまぶたの美容液で、アイプチかと思いきや、ふたえを作るためにアイプチやメザイクなどで酷使したまぶたをケアするための美容液というからユニークです。
コンプレックス解消メークが盛り上がりを見せている今、ふたえ作りに励む人口は以前よりも増えているのでそこに着目したのは素晴らしい。若い子にとって将来のための目もとケアはついつい後回しになりがちですが、明日のふたえがキレイになれると聞いたら俄然やる気がでそうです。
*****************************************
③「スプレータイプの“マスク”」という新しいカテゴリー
『ミシャ ラッピングコートスプレーマスク』
100ml ¥1,410 2014年2月1日発売
最後は、洗い流しも拭き取りもいらない、スプレータイプのマスクパックです。
たしかに、シートマスクも、洗い流しマスクも、ある程度手間がかかる…。手を汚さず、それでもマスク効果がほしいというよくばりな人にとって便利なアイテムと言えます。保湿力のある粘性バルクをスプレーするタイプの美容液…と言ってしまうこともできますが、そこを「スプレータイプの“マスク”」と、メリット・新規性を感じさせる表現にしたのが技を感じさせます。
スプレーで簡単に塗布できる、洗い流し・ふき取り不要、乾燥が気になる部分には重ねづけ自由自在…スプレータイプのマスクならとても魅力的に感じます。保湿ミストだったら、当たり前で、言い方ひとつで新しいものに見える好例です。
*****************************************
★「週刊粧業」にもコラム連載中です!
2014年3月31日発行号の「週刊粧業」にこちらの記事が掲載されました。